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01 エルの楽園 [→ Side:E →]
01 EL的樂園 [→ Side:E →]  


私は…生涯彼女を愛することはないだろう…
我…也許不會一輩子都愛著她…
しかし…彼女という存在は…私にとって特別な意味を孕むだろう…
可是…她的存在…對我而言是具有特別意義的吧…
何故なら…生まれてくる娘の名は…遠い昔にもう決めてあるのだから…
原因是…這個誕生的女孩的名字…是從很久以前就已經決定的…


──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる……
──接著…樂園之扉屢次被開啟了……


(Elysion, who ah... Elysion, who ah...)
(Elysion, who ah... Elysion, who ah...)


白い大地に 緋い雫で 描かれた軌跡 罪の道標
白色的大地上 緋紅的雨滴 被描繪之軌跡 罪的道標
古びた金貨(コイン) 握りしめたまま 這い擦りながらも 男は笑った
老舊的金幣(coin) 被緊握著 掙扎著爬行的同時 男人笑了


廻るように 浮かんでくる 愛しい笑顔 すぐ其処に
如同迴轉一般 浮現出來的 可愛的笑容 於其處
無限の果てに 手を伸ばす様に 扉に手を掛けた
無限的盡頭 就像伸出了手 碰觸那扇門


──そして…彼の現実は朽ち果てる……
──接著…他的現實灰飛煙滅
(Come Down to the Elysion)
(墜入伊利西安)


少女が小さく 咳をする度 胸の痛みが 春を遠ざける
少女每次輕輕的咳著 胸口的疼痛 春天逐漸遠去
襤褸い毛布でも 夢は見られる 愛を知った日の 温もり忘れない
在襤褸的毛毯下 依舊作著夢 體驗到愛的日子 忘不了那溫暖


眠るように 沈んでゆく 愛しい世界 水底に
如同睡著了一般 摯愛的世界沉入水底
夢幻の果てが 手を招く様に 扉は開かれた
夢幻的盡頭 如同在招手一般 門扉被開啟了


──そして…彼女の現実は砕け散る……
──接著…她的現實破碎四散……
(Come Down to the Elysion)
(墜入伊利西安)


ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな花が咲くの?
吶…父親(爸爸) 那個樂園裡開著怎麼樣的花?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな鳥が歌うの?
吶…父親(爸爸) 那個樂園裡有什麼鳥在歌唱?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園では体はもう痛くないの?
吶…父親(爸爸) 到了樂園身體就不會痛了嗎?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?
吶…父親(爸爸) 到了樂園就能永遠在一起了嗎?
ねぇ…お父様(パパ)…
吶…父親(爸爸)…


窓を叩く夜風 弾む吐息 薄暗い部屋 楽しそうな談笑
叩著窗門的夜風 跳動的吐息 微暗的房間 愉快的談笑
虚ろな月明かり 白い吐息 薄汚い部屋 痩せた膝の少女
虛幻的月光 白色的吐息 稍髒的房間 瘦弱的少女


幾度となく繰り返される問い掛け 尽きることのない『楽園』への興味
一次又一次不斷的詢問 對『樂園』有著無盡的興趣
嗚呼…少女にはもう見えていないのだ 傍らに横たわるその屍体が…
啊啊…少女已經再也見不到了吧 那躺臥在一旁的屍體是…


「ねえ、お父様(パパ)」
「吶、父親(爸爸)」
「なんだい、エル?」
「怎麼了、EL?」
「明日はなんの日か知ってる?」
「知道明天是什麼日子嗎?」
「世界で一番可愛い女の子の誕生日」
「全世界最可愛的女孩的生日啊」
「…私、お誕生日プレゼントは絵本がいいと思うわ…」
「…我呢、覺得繪本是很好的生日禮物喔…」


(Cross Talk)…男の夢想は残酷な現実となり
(Cross Talk)…男人的夢想化為殘酷的現實
(Cross Talk)…少女の現実は幽幻な夢想となる
(Cross Talk)…少女的現實化為虛幻的夢想
(Cross Talk)…男の楽園は永遠の奈落となり
(Cross Talk)…男人的樂園化為永恆的奈落
(Cross Talk)…少女の奈落は束の間の楽園となる
(Cross Talk)…少女的奈落化為瞬間的樂園


…お父様(パパ)── その楽園ではどんな恋が咲くの?
…父親(爸爸) ── 那個樂園裡綻放著怎樣的戀情?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな愛を歌うの?
吶…父親(爸爸) 那個樂園裡詠唱著怎樣的愛?
…お父様(パパ)── その楽園では心はもう痛くないの?
…父親(爸爸) ── 到了樂園心就不會痛了嗎?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?
吶…父親(爸爸) 到了樂園就能永遠在一起了嗎?


ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな花が咲くの?
吶…父親(爸爸) 那個樂園裡開著怎麼樣的花?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではどんな鳥が歌うの?
吶…父親(爸爸) 那個樂園裡有什麼鳥在歌唱?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園では体はもう痛くないの?
吶…父親(爸爸) 到了樂園身體就不會痛了嗎?
ねぇ…お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?
吶…父親(爸爸) 到了樂園就能永遠在一起了嗎?


ねぇ…お父様(パパ)…
吶…父親(爸爸)…


(Elysion, who ah...Elysion, who ah...)
(Elysion, who ah... Elysion, who ah...)
(Elysion, who ah...Elysion, who ah...)
(Elysion, who ah... Elysion, who ah...)




02. Ark
02. Ark
 

「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」

「她就是…我的Alice嗎…」


「──箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(器官)に手を加えて
「──在偽裝成庭園的牢籠中 改造那禁斷的海馬(器官)
驕れる無能な創造神(かみ)にでも 成った心算なの……」
即能成為那驕傲而無能的造物主嗎……」


...Love wishing to the "Ark"
…Love wishing to the "Ark"


(崩壊 其れは孕み続けた季節 二月の雪の日 『妹』(Soror)の記憶(ゆめ))
(崩壞 由此持續孕育的季節 二月的雪之日 『妹』(Soror)的記憶)


「我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ
「搭乘著導引至樂園之方舟 我們將哀悽的靈魂自大地解放
救いを求める貴女にArkを与えよう」
將Ark賦予祈求救贖的她」
《Arkと呼ばれた物》(それ)は月光を受けて銀色に煌いた…
《被稱為Ark的東西》在月光下閃爍著銀色的光芒


想い出まで裏切った 冷たい言葉の雨
誕生於思念的背叛 冰冷如雨的言語
幸せだった二人 永遠(とわ)に届かなくなる前に…
擁有幸福的兩個人 在永恆的分離之前…


「ねぇ…何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに」
「吶...為什麼改變了呢? 明明是那麼相愛的啊」
涙を微笑みに換え詰め寄る 《Arkと呼ばれた物》(Knife)を握って…
將眼淚化為微笑慢慢靠近 握著《被稱為Ark的東西》(Knife)


──愛憎の箱舟(Ark)
──愛憎的方舟(Ark)


「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」
「來吧...回到樂園去吧、兄長...」


(因果 其れは手繰り寄せた糸 六月の雨の日 『兄』(Frater)の記憶(ゆめ))
(因果 如此牽引的絲線 六月的雨之日 『兄』(Frater)的記憶)


信じてたその人に裏切られた少女
被信任的人所背叛的少女
逃げ込んだ楽園は信仰という狂気
逃進了樂園這個瘋狂的信仰
新しい世界へと羽ばたける自己暗示
期待能振翅飛往新世界的自我暗示
澄み渡る覚醒は進行という凶器
名為進行之凶器不帶疑惑的覺醒


最期の瞬間(とき)に廻った 歪な愛の記憶
臨終的瞬間回想著 扭曲的愛之記憶
脆弱な精神(ココロ)が堪えきれず あの日嘘を吐いた…
脆弱的心靈難以承受 在那天吐出了謊言…


律すれば律する程堕ちる 赦されぬ想いに灼かれながら
律 就是那規範著墮落的律 被不可饒恕的思念所灼燒
まぐわう傷は深く甘く 破滅へ誘う…
交歡的傷口如此深又如此甘美 誘導著破滅…


──背徳の箱舟(Ark)
──背德的方舟(Ark)


「さぁ…楽園へ還りましょう、お兄様…」
「來吧...回到樂園去吧、兄長...」


被験体#1096 通称『妹』(Soror)同じく
被驗體#1096 通稱『妹』(Soror) 以及
(Soror with the "Ark", Frater in the Dark)
(Soror with the "Ark", Frater in the Dark)
被験体#1076 通称『兄』(Frater)を殺害
被驗體#1076 通稱『兄』(Frater)被殺害
(Soror with the "Ark", Frater it's Dead)
(Soror with the "Ark", Frater in the Dead)


<症例番号(Case Number)12>
<病例號碼(Case Number)12>
過剰投影型依存における袋小路の模型(モデル)
投影狀態過度的依賴性封閉模型(Model)
即ち《虚妄型箱舟依存症候群》(Ark)
即是《虛擬方舟依賴症候群》(Ark)


限りなく同一に近づける 追憶は狂気にも似た幻想
無限的向「統合」接近 回憶近似於瘋狂的幻想
求める儘に唇を奪い合い 少しずつ楽園を追われてゆく
渴望爭取彼此的唇 追求那一點點的樂園
同じ心的外傷(トラウマ)重ねれば響き合う けれどそれ以上には…
相同的心之外傷(trauma)如果重疊就會交互迴響 但在那之後…


「──箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(器官)に手を加えて
「──在偽裝成庭園的牢籠中 改造那禁斷的海馬(器官)
驕れる無能な創造神(かみ)にでも 成った心算なの?」か…
就能成為那驕傲而無能的造物主嗎?」咳...


在りし日に咲かせた花弁は 暗闇に散り逝くように凛と
昔日盛開之花朵 於黑暗中凜然凋零逝去
少女の声色で囁く「楽園へ還りましょう」…
少女的聲音低語著 「回到樂園去吧」…


...Love wishing to the "Ark"
…Love wishing to the "Ark"


監視卿(Watcher)は天を仰ぎ深い溜息を吐く
監視卿(Watcher)仰天吐出深深的嘆息
失った筈の《左手の薬指》(場所)が虚しく疼いた
應該不存在的《左手的無名指》(位置)空虛的疼痛 *註7
──ふと彼が監視鏡(Monitor)の向こうへ視線を戻すと
──當視線偶然地回到監視器(Monitor)上
嗚呼…いつの間にか少女の背後には『仮面の男』が立っていた──
啊啊…什麼時候少女的背後站著『帶著面具的男人』──




03 エルの絵本 [魔女とラフレンツェ]
03 EL的繪本 [魔女與Lafrente]

 

如何にして楽園の扉は開かれたのか…

樂園之扉究竟是如何打開的呢…


鬱蒼と茂る暗緑の樹々 不気味な鳥の鳴き声
繁茂蒼鬱的暗綠色樹林 令人毛骨悚然的鳥鳴聲
ある人里離れた森に その赤ん坊は捨てられていた
遠離人跡的森林深處 那個嬰兒被遺棄了


幸か…不幸か…人目を憚るように捨てられていたその子を拾ったのは
幸或不幸…撿到了那為人所忌憚而拋棄的孩子的是
王国を追われた隻眼の魔女 《深紅の魔女と謳われた》(Crimsonの)オルドローズ
被王國所放逐的獨眼魔女 《人稱其為深紅之魔女》(Crimson的)Old Rose


銀色の髪に 緋色の瞳 雪のように白い肌
銀色的頭髮 緋紅的瞳孔 像雪一般白皙的肌膚
拾われた赤ん坊は いつしか背筋が凍る程美しい娘へと育った…
被撿到的嬰兒 在不知不覺間已長成了令人背脊為之凍結的美麗少女…


流転こそ万物の基本 流れる以上時もまた然り
流動變化乃是萬物的本質 流轉於其上的時間也是如此 *註4
二つの楽園を巡る物語は 人知れず幕を開ける…
巡遊於兩個樂園之間的故事 揭開了不為人知的序幕…
(くやしい…出してくれ…助けてくれ…)
(悔恨哪…放我出來…救救我…)


「ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…」
「Lafrente啊…不可以忘記呦…」


銀色の髪を風になびかせて 祈るラフレンツェ 死者の為に…
銀色的髮絲隨風飄送 祈禱的Lafrente 為了亡者…
小さな唇が奏でる鎮魂歌(Requiem) 歌えラフレンツェ 永遠(とわ)に響け…
小小的唇間演奏的安魂曲(Requiem) 歌唱的Lafrente 永遠的迴響著…


時を喰らう大蛇(Serpens) 灼けた鎖の追走曲(Canon)
啃噬時光的大蛇(Serpens) 燃燒枷鎖的輪唱曲(Canon)
狂い咲いた曼珠沙華(Lycoris) 還れない楽園(Elysion)
瘋狂開放的曼珠沙華(Lycoris) 回不去的樂園(Elysion)


蝋燭が消えれば 渡れない川がある
當蠟燭燒盡之時 將出現那無法渡行的河
始まりも忘れて 終わらない虚空(そら)を抱く……
連開始都將被忘卻 擁抱無止盡的虛空……


亡者どもの声(Creature's voice)
亡者們的聲音(Creature’s voice)
「──オノレラフレンツェ」…悲痛な叫びの不響和音(Harmony)
「──混帳Lafrente」…悲痛呼喊的不和諧音(Harmony)
尽きせぬ渇望(Un satisfied)
無盡的渴望(Un satisfied)
「──ニクキラフレンツェ」…呪怨の焔は燃ゆる
「──可憎的Lafrente」…咒怨之火燃燒搖曳


儚い幻想と知りながら 生者は彼岸に楽園を求め
即使明白這是不切實際的幻想 生者尋求著彼岸的樂園
死者もまた 還れざる彼岸に楽園を求める
而死者也同時 追求著另一邊的樂園
彼らを別つ流れ 深く冷たい冥府の川
流經其中將他們分離的 既深且冷的冥府之河
乙女の流す涙は 永遠に尽きることなく
少女所留下的淚水 永遠也不會停止吧
唯…嘆きの川の水嵩を増すばかり…
只是…不斷增加悲嘆之河的水量而已…


──少女を悪夢から呼び醒ます 美しき竪琴の調べ
──將少女從噩夢中喚醒的 那豎琴美麗的音調
哀しい瞳をした弾き手 麗しきその青年の名は……
有著悲傷眼神的演奏者 那個美麗青年的名字是……


「ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…
「Lafrente啊…不可以忘記呦…
お前は冥府に巣喰う、亡者どもの手から、
妳是自冥府的巢穴、亡者們的手中、
この世界を守る為の、最後の黄泉の番人、
為了保護這個世界、黃泉最後的守門人
純潔の結界を、破らせてはいけないよ…」
純潔的結界、不可以破壞呦…」


祖母が居なくなって 唇を閉ざした
祖母不在了 閉上了雙唇
吹き抜ける風 寂しさ孤独と知った
吹走了的風 知道了孤獨與寂寞
彼が訪れて 唇を開いた
他來拜訪了 張開了雙唇
嬉しくなって 誓いも忘れていった…
變得高興了 誓約也忘記了…


──それは
──那是
手と手が触れ合った 瞬間の魔法
手與手相互交疊 一瞬間的魔法
高鳴る鼓動 小さな銀鈴(Bell)を鳴らす
激烈的搖晃 小小銀鈴(Bell)的鳴響
瞳と瞳見つめ合った 瞬間の魔法
眼與眼相互交會 一瞬間的魔法
禁断の焔 少女は恋を知った…
禁斷的火燄 少女體悟了愛…


一つ奪えば十が欲しくなり 十を奪えば百が欲しくなる
奪得一個就會想要十個 奪得十個就會想要上百
その焔は彼の全てを 灼き尽くすまで消えはしない…
那火燄包圍他的全部 在燃燒殆盡之前不會消失…


「ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…」
「Lafrente啊…不可以忘記呦…」


愛欲に咽ぶラフレンツェ 純潔の花を散らして
吞下了愛慾的Lafrente 純潔的花朵四處飛散
愛憎も知らぬラフレンツェ 漆黒の焔を抱いて
不知道愛憎的Lafrente 擁抱了漆黑的火燄
彼は手探りで闇に繋がれた 獣の檻を外して
他摸索著黑暗中的關鍵 解開野獸的牢籠
少女の胎内(なか)に繋がれた 冥府の底へ堕りてゆく……
連接於少女的胎中 墜入冥府的深淵……


──近づいて来る足音
──接近的腳步聲
やがて彼(Orpheus)が乙女(Eurydice)の手を引いて 暗闇の階段を駆け上って来る
很快地他(Orpheus)拉著她(Eurydice)的手 沿著黑暗的階梯往上奔跑
けれど少女は裏切りの代償として 残酷な呪いを歌った
是做為背叛了少女的代價 響起了殘酷的詛咒之歌
嗚呼…もう直ぐ彼は…彼は振り返ってしまうだろう──
啊啊…很快地他就要…他就要轉頭回望了吧──


魔女がラフレンツェを生んだのか…ラフレンツェが魔女を生んだのか…
是魔女孕育了Lafrente…還是Lafrente孕育了魔女呢…
物語はページの外側に…
故事走出了書外…


斯くして…楽園の扉は開かれた
就這樣…樂園之扉被開啟了



04 Baroque
04 Baroque
 

「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」

「她就是…我的Alice嗎…」


主よ、私は人間を殺めました。
主啊、我殺了人。
私は、この手で大切な女性を殺めました。
我、用這雙手殺害了對我非常重要的女性。


思えば私は、幼い時分より酷く臆病な性格でした。
我覺得、我比年幼的時候更為怯懦。
他人というものが、私には何だかとても恐ろしく思えたのです。
與別人交談、總是為我帶來強烈的恐懼。


私が認識している世界と、他人が認識している世界。
我所認知的世界、與他人所認知的世界。
私が感じている感覚と、他人が感じている感覚。
我所感受的知覺、與他人所感受的知覺。


『違う』ということは、私にとって耐え難い恐怖でした。
這所謂的『差異』、對我而言是難以忍受的恐怖。
それがいづれ『拒絶』に繋がるということを、無意識の内に知っていたからです。
那是和所謂的『拒絕』相繫的事、無意識之中我是這樣認為的。 *註1


楽しそうな会話の輪にさえ、加わることは恐ろしく思えました。
就連看起來愉快交談的圈子、我都對加入其中感到恐懼。
私には判らなかったのです、他人に合わせる為の笑い方が。
我不懂、那迎合他人而笑的方法。


いっそ空気になれたら素敵なのにと、いつも口を閉ざしていました。
乾脆變成空氣也好吧、總是這樣的沉默。
そんな私に初めて声を掛けてくれたのが、彼女だったのです。
第一個向那樣的我打招呼的、就是她。


美しい少女(ひと)でした、優しい少女(ひと)でした。
美麗的少女、溫柔的少女。
月のように柔らかな微笑みが、印象的な少女でした。
好似月亮一般柔和的微笑、就是這樣令人印象深刻的少女。


最初こそ途惑いはしましたが、私はすぐに彼女が好きになりました。
一開始雖然覺得迷惑、但是很快地我就喜歡上她。
私は彼女との長い交わりの中から、多くを学びました。
在我與她長久的交往之中、學到了很多事情。


『違う』ということは『個性』であり、『他人』という存在を『認める』ということ。
所謂的『差異』即是『個性』、這是藉以『認知』所謂『他人』的事。
大切なのは『同一であること』ではなく、お互いを『理解し合うこと』なのだと。
重要的並不是『相同的部份』、而是去『理解彼此』。


しかし、ある一点において、私と彼女は『違い過ぎて』いたのです。
但是、就這件事而言、我和她卻有著『過多的差異』。


狂おしい愛欲の焔が、身を灼く苦しみを知りました。
簡直令人發狂的愛慾之火、讓我知道了被灼燒的痛苦。
もう自分ではどうする事も出来ない程、私は『彼女を愛してしまっていた』のです。
已經到了不能自己的程度、我是『愛著她的』。


私は勇気を振り絞り、想いの全てを告白しました。
我股起全部的勇氣、向她表白了心中的感情。


しかし、私の想いは彼女に『拒絶』されてしましました。
但是、我的心意卻被她『拒絕』了。
その時の彼女の言葉は、とても哀しいものでした。
當時她所說的話、是十分悲傷的。
その決定的な『違い』は、到底『解り合えない』と知りました。
那個決定性的『差異』、讓我清楚知道我們『不可能瞭解彼此』。


そこから先の記憶は、不思議と客観的なものでした。
在那之前的記憶、有著不可思議的客觀。 *註3
泣きながら逃げてゆく彼女を、私が追い駆けていました。
一邊哭泣一邊逃開的她、在其後追趕著的我。
縺れ合うように石畳を転がる、《性的倒錯性歪曲》(Baroque)の乙女達。
相互糾結一般滾倒在鋪石的地上、《性別倒錯性歪曲》(Baroque)的少女們。 *註4
愛を呪いながら、石段を転がり落ちてゆきました……。
一邊詛咒著愛、從石階上摔落……。


この歪な心は、この歪な貝殻は、
這扭曲的心、這扭曲的貝殼、
私の紅い真珠は歪んでいるのでしょうか?
我那紅色的珍珠是否也如此扭曲了呢? *註5


誰も赦しが欲しくて告白している訳ではないのです。
我的告解並不是希望得到誰的寬恕。
この罪こそが、私と彼女を繋ぐ絆なのですから。
這個罪、是連結於我與她之間的羈絆。
この罪だけは、神にさえも赦させはしない……。
只有這個罪、是神也不會饒恕的……


「ならば私が赦そう…」
「那就讓我來饒恕吧…」


歪んだ真珠の乙女、歪なる日に死す…(Baroque Vierge, Baroque zi le fine...)
扭曲了珍珠的少女、扭曲之日的死亡…(Baroque Vierge, Baroque zi le fine...) *註6
──激しい雷鳴 浮かび上がる人影
──激烈的雷鳴 浮現出的人影
いつの間にか祭壇の奥には『仮面の男』が立っていた──
什麼時候祭壇中間站著『帶著面具的男人』──





05 エルの肖像
05 EL的肖像
 

白い結晶の宝石は 風を纏って踊る
白色結晶的寶石 在風中飛舞的旗幟
樹氷の円舞曲 遠く朽ちた楽園
樹冰的圓舞曲 遠方那腐朽的樂園 


黒い瞳孔(め)の少年は 風を掃って通る
風拂掃穿過 那有著黑色瞳孔的少年
樹氷の並木道 深い森の廃屋
樹冰的並木道 森林深處的廢屋 


少年が見つけた 少女の肖像画
少年發現了 少女的肖像畫
『彼』は病的に白い 『彼女』に恋をしてしまった…
『他』對有如病容般蒼白的『她』墜入愛河


幼い筆跡の署名(Sign) 妙に歪な題名(Title)は
年幼的筆跡簽名(Sign) 歪曲的美妙標題(Title)
【最愛の娘エリスの八つの誕生日に…】
【摯愛的女兒Alice的8歲生日…】


退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance)
終至頹廢(Decadence)的幻想 持續編織背德的羅曼史(Romance)
痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ
為了擁抱苦痛而誕生的 悲傷
第四の地平線─その楽園の名は『ELYSION』
第四地平線─那個樂園的名字是『ELYSION』 *註3


──そして…幾度目かの楽園の扉が開かれる……
──接著…樂園之扉屢次被開啟了……


やがて少年は彼の《理想》(idea"L")を求めるだろう…
不久 少年追求著他的《理想》(idea"L")
やがて少年は彼の《鍵穴》(keyho"L"e)を見つけるだろう…
不久 少年尋覓著他的《鍵穴》(keyho"L"e)
やがて少年は彼の《楽園》(e"L"ysion)を求めるだろう…
不久 少年追求著他的《樂園》(e"L"ysion)
やがて少年は彼の《少女》(gir"L")を見つけるだろう…
不久 少年尋覓著他的《少女》(gir"L") 


娘もまた母になり 娘を産むのならば
女兒也將再度成為母親 倘若母親生育的是女孩
楽園を失った原罪を 永遠に繰り返す……
自樂園迷失的原罪 永遠重複著……


始まりの扉と 終わりの扉の狭間で
在起點與 終點的門扉狹縫之間
惹かれ合う『E』(EL)と『A』(ABYSS)──愛憎の肖像
相互吸引的『E』(EL)與『A』(ABYSS) ──愛憎的肖像


禁断に手を染め 幾度も恋に堕ちてゆく
被禁止的心願 屢次陷入的戀情
求め合う『E』(EVA)と『A』(ADAM)──愛憎の肖像
相互需要的『E』(EVA)與『A』(ADAM) ──愛憎的肖像


やがて少年は♂(オトコ)の為に自らを殺し 少女は♀(オンナ)の為に自らを殺す
不久 少年為了別的男性而犧牲 不久 少女為了別的女性而犧牲 *註6
時の荒野を彷徨う罪人達は 其処にどんな楽園を築くのだろうか?
徬徨於時之荒野的罪人們 在那裡將築起怎麼樣的樂園呢?


──幾度となく『E』(Elysion)が魅せる幻影 それは失ったはずの『E』(Eden)の面影
──屢次媚惑於『E』(Elysion)的幻影 那應該迷失了的『E』(Eden)的面貌
嗚呼…その美しき不毛の世界は 幾つの幻想を疾らせてゆくのだろう──
啊啊…那美麗而荒涼的世界啊 多少虛幻的思念在那迴盪──



06 Yield
06 Yield

 

「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
「她就是…我的Alice嗎…」


一人娘は せっせと種を蒔く
獨生的女兒 辛苦的播種
変わらぬ過去に 訪れぬ未来に
不能改變的過去 不會到訪的未來
不毛な行為と 君は笑うだろうか?
貧脊的行為 您覺得可笑嗎?
それなら君は 幸せなんだろうね…
如果是這樣 那麼您是幸福的人吧…


根雪の下で春を待つの 夏が過ぎれば実りの秋ね…
在不停止的雪中等待著春天 當過了夏天就會是收穫的秋天…


成果…収穫…それは果実を産む(harvest harvest it yields fruits)
成果…收穫…結實纍纍(harvest harvest it yields fruits)
最も遅い収穫…それは甘い果実を産む(la la, latest harvest it yields sweets)
最長久的收成…將得到那最甘美的果實(la la, latest harvest it yields sweets)


一夜限りの 情事(ゆめ)でも構わない
即使只有一夜也好 那樣的愛情(夢想)
それをも女は 永遠(とわ)に出来るから
對那女人來說 這樣就是永恆


不毛な恋と 君は笑うだろうか?
貧脊的愛戀 您覺得可笑嗎?
やっぱり君は 幸せなんだろうね…
那麼您 還是幸福的人吧…


凍える夜は夢を見るの 夏が過ぎれば想いが実る…
凍結的夜在夢中見到的是 過了夏天後收成思念的果實… 


結果…収穫…それは果実を産む(harvest harvest it yields fruits)
成果…收穫…結實纍纍(harvest harvest it yields fruits)
最も遅い収穫…それは甘い果実を産む(la la, latest harvest it yields sweets)
最長久的收成…將得到那最甘美的果實(la la, latest harvest it yields sweets)


「3」…不安定な数字 「3-1」…模範的な数式
「3」…不穩定的數字 「3-1」…模範的算式
問題となるのは個の性質ではなく 唯…記号としての数量
問題無關乎個體的性質 只在於…作為記號的數量
世界が安定を求める以上 早くどれか一つを引かなければ…
世界追求著穩定的組成 必須要早點決定哪個是多餘的…


何故人間(ひと)は恋をする 相応しい季節(とき)に出会えないの?
為何思慕的人 在合適的季節卻不能見面呢?
嗚呼…お父さん(Dad)…お母さん(Mam)
啊啊…爸爸(Dad)…媽媽(Mam)


「──それでも私は幸せになりたいのです……」
「──儘管如此我還是希望能夠幸福……」


恋心 甘い果実 真っ赤な果実(Sweets, lala Sweets, lala 真っ赤なFruits)
戀心 甜美的果實 鮮紅色的果實(Sweets, lala Sweets, lala 鮮紅色的Fruits)
もぎ獲れないのなら 刈り取れば良いと…
如果不能直接摘下 只要收割就可以了…
恋心 甘い果実 真っ赤な果実(Sweets, lala Sweets, lala 真っ赤なFruits)
戀心 甜美的果實 鮮紅色的果實(Sweets, lala Sweets, lala 鮮紅色的Fruits)
嗚呼…でもそれは首じゃないか……
啊啊…但那不是頭嗎…… *


二人の♀(オンナ) 一人の♂(オトコ) 一番不幸なのは誰?
兩名女子 一個男人 最不幸的是誰呢?
落ちた果実…転がる音 余剰な数字…引かれる音
落下的果實…滾動的聲音 剩餘的數字…拉扯的聲音


「3-1+1-2」
「3-1+1-2」


──最後に現れたのは『仮面の男』
──在最後出現的『帶著面具的男人』
彼らが消え去った後 荒野に一人取り残されるのは誰──
當他們消失了之後 荒野中被留下來的人是誰──




07 エルの天秤
07 EL的天秤 

殺人…窃盗…誘拐…密売…

殺人…竊盜…誘拐…走私…


──悪魔に
──惡魔
魂を売り渡すかのように 金になる事なら何でもやった
彷彿將向其出賣靈魂一般 若是能掙得金錢不論何事都願意去做
問うべきは手段では無い その男にとって目的こそが全て
任何手段都無所謂 對那個男人而言重要的是達成目的
切実な現実 彼には金が必要だった…
急迫的現實 他需要錢…


傾き続けてゆく天秤 その左皿が沈み切る前に
持續傾斜的天秤 那左邊的器皿將要陷落的時刻
力づくでも浮き上がらせるだけの金が 右皿には必要だった…
要想給予其上升的力量 就必須在右邊的器皿置上金錢…
そして…その夜も天秤は仮面を躍らせる……
於是…那個夜晚也帶著面具為了天秤而行動……


闇を纏うように 夜の静寂を探り 瞳と瞳(目と目)を見つめ合って
交纏於黑暗之中 探索著夜的靜寂 相互凝視彼此的眼神
夢想的(Romantic)な月灯りに そっと唇重ね 息を潜めた…
浪漫的月燈之下 嘴唇偷偷地交疊 隱蔽了氣息…
慌しく通り過ぎる 追っ手達を遣り過ごし 手と手を取り合って
匆忙的走過 避開追趕者們 互相緊握彼此的手
戯曲的(Dramatic)な逃避行に 酔った二つの人生(いのち) 愛に捧げた…
戲劇性的逃亡 沉醉的兩個人生 奉獻給了愛情…


さよなら…(権力の走狗どもには便利なカード)
再見了…(作為權力的走狗得到的是便利的金卡)
さよなら…(娘を売れば至尊への椅子は買える)
再見了…(如果以女兒為代償就能爬上更高之地位)


身分違いの恋 許されないと知っても ♂(お)と♀(め)は惹かれ合った
沒有對等身分地位的戀愛 即使知道不會被允許 男孩和女孩依然互相吸引
嗜虐的(Sadistic)な貴族主義を 蹴って檻を抜け出す 嗚呼それは悲劇…
嗜虐的貴族主義 溜出了這樣牢籠 啊啊那樣的悲劇…


運命の遊戯盤(Board)の上で 支配力を求めて 生と死は奪い合った
在命運的輪盤之上 競爭的支配力量 生與死的鬥爭
徹底的(Drastic)な追悼劇を 笑う事こそ人生 嗚呼むしろ喜劇…
激烈的追悼劇 人生正是如此可笑 啊啊 不如當作喜劇吧…


さよなら…(コインで雇った者が裏切る世の中)
再見了…(被金錢奴役之人所背叛的世界)
さよなら…(他人ならば不条理と責めるは惨め)
再見了…(假如許配他人那是何其荒謬無理之慘事)


楽園への旅路 自由への船出 逃走の果てに辿りついた岸辺
往樂園的旅途 自由的出發點 在逃亡的盡頭終於出現的彼岸
船頭に扮した男が指を鳴らすと 黒衣の影が船を取り囲んだ……
扮成船伕的男人打了一個暗號 黑衣的影子將船包圍……


「お帰りの船賃でしたらご心配なく、既に充分すぎるほど戴いておりますので、
「不用擔心回程的船費、已經付清了足夠的金額了
けれども彼は、ここでさよなら」
但是他、要在這裡說再見了」


「残念だったね…」
「很遺憾…」


「娘さえ無事に戻るならばそれで良い、使用人(オトコ)の方など殺(バラ)しても構わんわ」
「如果女兒能夠平安無事的回來就好了、僱來的男人殺掉也沒有關係」
一度も眼を合わせずに伯爵はそう言った… 
眼睛眨也不眨一下的伯爵那樣說了…
金貨(コイン)の詰まった袋が机(テーブル)叩いた…
將裝滿金幣的袋子扔在桌上…


いつも人間(ひと)は何も知らない方が幸福(幸せ)だろうに
人哪要是什麼都不知道就會是幸福的
けれど他人(ひと)を求める限り全てを知りたがる
但是 向他人尋問就會發現全部的真相
──何故破滅へと歩み出す?
──為什麼要步向滅亡呢? 


華やかな婚礼 幸せな花嫁 運命の女神はどんな脚本(シナリオ)を好むのか…
華麗的婚禮 幸福的新娘 命運的女神喜歡的是怎樣的劇本…
虚飾の婚礼 消えた花嫁 破滅の女神はどんな綻びも見逃さない…
虛飾的婚禮 消失的新娘 破滅的女神不會放過任何一絲破綻…


嗚呼…燃えるように背中が熱い その男が伸ばした手の先には何かが刺さっていた
啊啊…背上有如燃燒一般灼熱 那個男人將手伸向被刺傷的地方
嗚呼…緋く染まった手を見つめながら 仮面の男は緩やかに崩れ落ちてゆく…
啊啊…一邊凝視著染上緋紅的手 帶著面具的男人緩緩的隕落…


嗚呼…その背後には娘が立っていた 凄まじい形相で地に臥せた男を凝視していた
啊啊…女孩佇立於這場景的背後 面色慘然的凝視著倒臥的男人
嗚呼…一歩後ずさり何か叫びながら 深まりゆく闇の彼方へと走り去ってゆく…
啊啊…一邊呼喊著什麼 一邊向著那黑暗的彼方奔跑而去…


──徐々に薄れゆく意識の水底で 錆付いた鍵を掴もうと足掻き続ける
──深層之意識逐漸褪逝 卻仍然焦躁地渴望握住生鏽的鑰匙
扉は目の前にある 急がなければ もうすぐ もうすぐ約束した娘の──
門扉已經近了 如果不抓緊 已經馬上 馬上就可以看到約定好的女兒──

 




08 Sacrifice
08 Sacrifice 
 

「彼女こそ…私のエリスなのだろうか…」
「她就是…我的Alice嗎…」


(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)
(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)


無邪気な笑顔が 愛らしい妹は
純真無邪的笑容 可愛的妹妹
神に愛されたから 生まれつき幸福(幸せ)だった
蒙受神的寵愛 生來就是如此幸福啊


一人では何も 出来ない可愛い天使
別人完全無法比擬的 可愛的天使
誰からも愛される 彼女が妬ましかった
沒有人能不喜歡 她如此令人妒羨


器量の悪い私を 憐れみないでよ…
相比之下我如此差勁 別用同情的眼光看著我…


「──惨めな思いにさせる、妹(あの子)なんて死んじゃえば良いのに…」
「──落魄的我祈禱著、那個孩子能死掉就好了…」


(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)
(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)


あくる日妹は 高熱を出して寝込んだ
翌日妹妹發著高燒而陷入昏睡
ごめんなさい神様 あの願いは嘘なんです
對不起 神啊 那個願望不是真心的


懺悔が届いたのか やがて熱は下がった
是懺悔被聽見了嗎 不久後高燒退去了
けれど今度は母が 病の淵に倒れた
然而這一次 卻換成了母親倒臥病榻


母が今際の時に遺した言葉は…
臨終之際母親留下的遺言…


「──妹(あの子)は他人とは違うから、お姉ちゃん(あなた)が助けてあげてね…」
「──妹(那個孩子)與一般人是不同的、作為姊姊(妳)要照顧她…」


(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)
(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)


母が亡くなって 暮らしにも変化が訪れ
母親就這麼逝世了 生活也有了變化
生きる為に私は 朝な夕な働いた
為了家計 我早晚都必須工作


村の男達は 優しくしてくれたけど
村中的男人們雖然很和善 但是
村の女達は 次第に冷たくなっていった
村中的女人們 逐漸變得冷漠 


貧しい暮らしだったけど 温もりがあった…
我們的生活雖然貧窮 然而卻很溫暖
「──肩を寄せ合い生きてた、それなりに幸福(幸せ)だった…」
「──能夠相互倚靠著肩膀活著、那就是幸福了吧…」


それなのにどうして…こんな残酷な仕打ちを…教えて神様!
儘管如此為什麼…這麼殘酷的事情…神啊告訴我啊!
妹(あの子)が授かった子は 主が遣わし給うた 神の御子ではないのでしょうか?
被託負的那個孩子 天主所派遣至人間的 難道不是神的孩子嗎?


──妹が子供を身篭もっていることが発覚した夜
──妹妹懷有身孕的事被發現的夜晚
村の男達は互いに顔を見合わせ口を噤んだ
村裡的男人們沉默的看著彼此
重い静寂を引き裂いたのは耳を疑うような派手な打音
撕裂了沉重的靜寂的 是剮耳朵清脆的聲響
仕立屋の若女将が妹の頬を張り飛ばした音…
成衣鋪的女主人狠狠打了妹妹一巴掌的聲音…


泥棒猫…可哀想な子だと…世話を焼いて…恩知らず…
偷腥的貓…可悲的孩子…惹禍精…忘恩負義… 


──断片的な記憶…断罪的な罵声…
──不完全的記憶…斷罪的斥罵聲
嗚呼…この女(ひと)は何を喚いているんだろう? 気持ち悪い
啊啊…這個女人在吼叫著什麼呢? 難受的感覺
ぐらりと世界が揺れ 私は弾け飛ぶように若女将に掴みかかっていた…
世界劇烈的搖晃 女主人彷彿要將我撕烈一般揪著我…


緋く染まった視界 苦い土と錆びの味 頭上を飛び交う口論 神父様の怒声
化成緋紅色的視野 泥土的苦味與鐵銹的氣息 在頭上的口沫橫飛 神父大人的怒斥


純潔の…悪魔の契り…災いの種…マリア様の…誰もガブリエルを…火炙りだ
純潔的…惡魔的契約…災禍的孽種…聖母瑪利亞的…Gabriel…火炙 


「嗚呼…悪魔とはお前達のことだ!」
「啊啊…妳們這些惡魔!」


──そして…妹は最後に「ありがとう」と言った…
──接著…妹妹在最後所說的「謝謝」是…


心無い言葉 心無い仕打ちが どれ程あの娘を傷付けただろう
無情的言語 無情的行為 是哪一種傷害了那個女孩呢
それでも全てを…優しい娘だから…全てを赦すのでしょうね…
儘管如此全部都…因為是那麼和善的女孩…任何事都會原諒的…


「でも、私は絶対赦さないからね…」
「但是、我是絕對不會饒恕的…」


「この世は所詮、楽園の代用品でしかないのなら、
「反正這個世界、如果只是做為樂園的代用品、
罪深きモノは全て、等しく灰に帰るが良い!」
所有罪孽深重的人啊、一起化為灰燼吧!」


──裸足の娘 凍りつくような微笑を浮かべ
──赤腳的女人 浮現出令人凍結的微笑
揺らめく焔 その闇の向こうに『仮面の男』を見ていた──
搖曳的火燄 在那背影之中出現了『帶著面具的男人』──




09 エルの絵本 [笛吹き男とパレード]
09 EL的繪本 [吹笛人與大遊行]
 

そのパレードは何処からやって来たのだろうか…
那遊行的隊伍究竟是來自何方呢…


嗚呼…そのパレードは何処までも続いてゆく…
啊啊…那遊行的隊伍將永遠持續下去…


「おぉ友よ!罪も無き囚人達よ、我らはこの世界という鎖から解き放たれた。
「喔 朋友們!無辜的囚犯們呦、我們將從這個世界的枷鎖中解放。
来る者は拒まないが、去る者は決して赦さない。黄昏の葬列…楽園パレードへようこそ!」
來者不拒、離者不赦。黃昏的送葬隊伍…歡迎加入樂園的大遊行吧!」


パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
那隊伍將不斷遊行下去 → 以世界的盡頭為目標
先頭で仮面の男が笛を吹く → 沈む夕陽に背を向けて
領隊的假面之男吹著笛子 → 背對著那西沉的夕陽
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
那隊伍將不斷遊行下去 → 以世界的盡頭為目標
男の肩に座った少女が歌う → その笛の音に合わせて
坐在男人肩膀上的少女唱著歌 → 與那笛音混合在一起


心に深い傷を負った者にとって 抗えない魔性の音…
對於心中有著深深傷口的人來說 那不可抗拒的魔性之音…


「やぁ友よ!幸薄き隣人達よ、我らはこの世界
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